不動産投機と不動産
資産を増やす、と聞いて皆さんはどんなことを想像するでしょうか。FXや株であれば皆さんもCMなどで聞いたことがあるとは思うのですが、不動産投機となるとバブル崩壊後に生まれた世代はあまりイメージが湧きにくいのではないでしょうか。今回は不動産価格に影響を与える要因の第三弾、不動産価格に影響を与える要因・不動産投機と不動産、と題して見ていきたいとおもいます。
そもそも不動産投機とは?
不動産投機とは、不動産市場での価格変動を利用して、短期的な利益を追求することを指します。つまり、不動産を所有することよりも、価格が上昇することを期待して、不動産を買い入れ、売却することで利益を得ることを目的とした投資のことを指します。昭和の不動産バブルや最近でいえばオリンピック景気に合わせたタワーマンションの購入など、賃貸経営による長期的な資産形成を目的とする不動産投資とは違い、高いリターンを狙える一方で、リスクも高く市場の変動に強い影響を受けやすいという特徴があります。不動産投機は住む事よりも利益を得ることを目的にしているため海外の投資家が買うことも多く、例えば中国では夜なのにいつまで経っても部屋の電気がつかない部屋が多いタワーマンションが集まった高級住宅街、というものが存在するほどです。
不動産投機はやばいのか
不動産投機が問題となるのは、過剰な投機が起こった場合です。過剰な投機が起こると市場価格が過剰に高騰し、バブルが形成される可能性があります。また、過剰な投機は価格の高騰を生み、不動産市場全体を歪ませることで居住用の不動産を買いたいと考えてる人にとって購入を難しくさせる可能性もあります。不動産投機が起こる原因としては、「不動産価格に影響を与える要因・金利」でも紹介した金利の低下や景気回復期の景気浮揚効果、政策の歪みなどが挙げられます。政策の歪みとしては、税制の優遇や金融政策の緩和などがあります。
昭和の不動産バブルを経験した方はその後の影響をご存知だとは思いますが、仮にバブル市場が崩壊した場合、多くの投資家が損失を被ることになり結果としては国内の経済の冷え込みを招くことになりかねません。
結局不動産投機は不動産価格にどう影響するのか?
不動産投機が不動産価格に与える影響は、市場における需要と供給のバランスを歪め、価格の上昇につながることにあります。つまり、不動産投機が加熱すると、需要が供給を上回り、市場価格が上昇しやすくなります。また、不動産投機は、不動産市場全体に影響を与えることがあります。投機によって、一部の物件が高値で取引されることによって、同じエリア内にある他の物件の価格が上昇することがあります。これにより、同じエリア内にある住宅や事業用不動産を手に入れることが難しくなる場合があります。また、不動産投機によって、市場価格が不動産を本当に必要としている人の手が届かない高い水準に達してしまうと、市場全体において需要が減少することにつながります。その結果、市場価格は下落し、投資家は損失を被ることになります。その後不動産価格がどうなるかは昭和不動産バブルの崩壊後のように不動産価格の低迷が長い間続くことになる可能性があります。
現在、日本の不動産価格は下落の可能性がある状況下にあります。オリンピック景気の終了や建材費の高騰、株価の下落や日銀の政策変更による金利の上昇の可能性。これらの要因が投資家の心理にどう影響を与えるか、それ次第では大幅な不動産価格の下落は起きてもおかしくないのかもしれません