タワーマンションも在庫が溜まり始めています。
かつては希少性から人気を集め、即日完売する物件も多かったタワーマンション。しかし、最近では多くの場所でタワーマンションが見られるようになり、その人気は以前ほどではなくなりつつあります。これに伴い、新築時の販売で人気を集め、竣工後も高い資産価値を維持するためには、タワーマンションというだけではなく、プラスアルファの価値が求められる時代になっています。
民間調査機関の不動産経済研究所は、毎月首都圏や近畿圏の新築マンションの発売動向を調査しています。その中で注目すべき指標の一つが月間契約率です。これは、その月に発売された新築マンションのうち、契約が成立した割合を示すもので、一般的には70%が好不調の境界線とされています。
新築マンションの多くは建築着工後すぐに販売が始まるため、初月に70%程度売れれば、竣工までには完売する計算が成り立ちます。70%を超えれば好調、80%や90%なら絶好調ですが、70%を切ると不調とされ、50%以下は非常に厳しい状況です。
2023年度の首都圏新築マンション全体の契約率の平均は69.9%で、前年度比0.4ポイントのダウンでした。これは70%をわずかに下回っていますが、まずまずの水準と言えます。
一方、20階建て以上のタワーマンションの動向も気になるところです。2024年4月の首都圏タワーマンションの発売戸数は120戸で、契約率は48.3%でした。これは採算ラインの70%を大きく下回り、50%にも届かない厳しい結果です。
契約率はその月の物件状況によって変動するため、一過性の結果とも考えられますが、必ずしもそうとは言えない現状もあります。