杉並区の隠れた名所 詩情あふれる与謝野公園で感じる明治の文学と歴史

「君死にたまふことなかれ」
皆さんも一度は聞いたことがあるこの詩は日本の明治・大正・昭和期に活躍した詩人の与謝野晶子によって書かれた詩です。情熱的で感情豊かな作風で、伝統的な和歌の枠を超えた革新的な表現を追求した与謝野晶子にゆかりのある公園が東京の杉並区の閑静な住宅街にあります。
東京都杉並区に位置する「与謝野公園」は、与謝野鉄幹・晶子夫妻が晩年を過ごした旧居跡地に整備された、歴史と情緒が感じられる公園です。
公園の始まりは1982年にさかのぼります。当時「南荻窪中央公園」として開園され、地域住民に愛される公園として親しまれてきましたが、2010年に隣地を取得したことをきっかけに再整備が行われました。この際、地元の要望も踏まえ、与謝野夫妻ゆかりの場所としての整備が進められ、2012年に「与謝野公園」として新たに生まれ変わりました。
公園内は、与謝野夫妻がかつて住んでいた旧居の庭をイメージしてデザインされています。入口には門柱が立てられ、玄関に続く通路も再現され、訪れる人々に歴史の面影を感じさせます。さらに、園内には与謝野夫妻の短歌が刻まれた14基の歌碑が設置されています。これらの歌碑は、歌人の松平盟子さんらによって選ばれ、訪れる人々に夫妻の文学的な遺産を伝えています。
また、与謝野夫妻が好んだ樹木も庭に植えられており、四季折々の自然が楽しめる空間となっています。歴史や文化に触れながら、心穏やかに過ごせる「与謝野公園」は、地元住民だけでなく、遠方から訪れる人々にとっても魅力的な場所です。
ぜひ一度、与謝野公園で与謝野夫妻の足跡を感じながら、ゆっくりとしたひとときをお過ごしください。