区分マンションの脆弱な建物共用部管理組合について考える

今回は、区分分譲マンションの長期維持管理と、それに関連する管理組合の現状について掘り下げてみたいと思います。

前回の記事では、分譲マンションにおける建替えを前提とした促進制度について触れましたが、実際には建替えが進まない現状を踏まえ、共用部を長期間維持管理するための制度整備が急務となっています。

管理組合の現状と課題

分譲マンションの管理組合は、区分所有者全員が加入義務を負うものであり、法律上、加入を拒否することはできません。しかし、管理組合は法人格を持たないため、銀行口座の開設や融資の利用ができず、収益事業も運営できません。この制約により、管理組合の活動は個人の善意に大きく依存しているのが現状です。

特に、理事長や理事のような役職はボランティアで行われるため、高齢化や負担の大きさからなり手が不足しています。加えて、投資用マンションでは所有者が実際に居住していないことが多く、管理組合の運営に積極的に参加する人がほとんどいないという問題もあります。

国土交通省の「第三者管理方式」とその導入

従来のマンション管理では、国土交通省が作成した「マンション標準管理規約」を参考に、理事会を中心とした体制が一般的でした。しかし、2016年の改正で「第三者管理方式」が導入され、外部の管理者に管理業務を委託できるようになりました。この方式は、特にリゾートマンションや投資用マンションで実績があります。

さらに2024年には、第三者管理方式に関するガイドラインが改定され、運用面での指針が示されています。しかし、この方式にも課題があります。実際に、管理組合の運営を外部に任せることで、透明性や利益相反の問題が浮き彫りになるケースが少なくありません。

9に見る危険な体制の問題点

第三者管理方式が進む中で、共用部管理会社、監査法人、第三者管理者が同一法人や系列企業で運営されるケースが多々見られます。

これにより、管理組合の利益よりも自社グループの利益を優先する「利益相反」の状態が発生するリスクが指摘されています。例えば、管理費や修繕費用が不当に高額になる可能性や、監査が形骸化する危険性があります。管理組合がこの体制に合意していれば合法とされますが、実質的な問題は見過ごされがちです。

区分分譲マンションを購入検討中の方へのアドバイス

近年、不動産市場の高騰や融資金利の上昇を背景に、現金で区分分譲マンションを購入する動きが注目されています。しかし、購入前に管理組合や管理体制の実態を十分に調査することが重要です。特に、第三者管理方式が導入されている物件では、利益相反のリスクや管理費の透明性について確認することをお勧めします。

まとめ

区分分譲マンションの長期維持管理は、所有者全体で協力し、透明性のある運営を目指すことが不可欠です。今後も、管理組合や管理会社に関連する具体的な体験事例を共有し、読者の皆様に有益な情報をお届けしていきます。

マンション購入を検討されている方にとって、本記事が一助となれば幸いです。

不動産についてのご相談一切無料
お気軽にご連絡ください