建設コスト高騰、コンクリート建造物は新しく建てられない?

ここ数年で、コンクリートや木材、鋼板、ガラス、アルミなどの資材価格が軒並み30~80%も値上がりしました。さらに、人件費やエネルギー費の高騰が建設・建築業界を直撃し、業界全体が大きな課題に直面しています。

建設計画の見直しが相次ぐ現状

不動産ディベロッパーが土地を購入し、マンションやビルを建設するまでの間に、資材価格の高騰や人手不足の影響で計画が遅延。その結果、当初の予算を大幅にオーバーし計画の見直しを余儀なくされるケースが増えています。

実際、東京・五反田の「TOCビル」の建て替え計画が見直されるなど、大型プロジェクトの中止や延期が相次いでいます。

建設業界全体に広がる影響

こうした影響は、大規模開発にとどまりません。自宅のリフォームや外壁塗装といった工事も、工賃の大幅な高騰により、見積もりすら断られるケースが発生しています。

しかし、建設業界が潤っているわけではなく、2024年3月期には大手ゼネコン・清水建設が連結営業損益で赤字を計上するなど、コスト高に苦しむ企業は少なくありません。特に、労働人口の減少による人手不足が深刻化しており、新規受注の難しさも今後さらに顕著になると予想されます。

新築マンションの供給減少

こうした状況を背景に、東京の新築マンションの分譲戸数も大幅に減少。2015年には年間4万戸ほどあったものが、2023年には約2万戸と半減しています。建設コストの高騰に見合った価格で販売できるのは、都心部の限られたエリアのみとなり、新築マンション市場の縮小が続く可能性が高いです。

これからの建築のあり方

都市部の再開発案件はそろそろ頭打ちとなる一方、老朽化した建物や公共施設の建て替えは今後も増加すると見られています。しかし、建築コストの上昇が止まらない限り、新たに建物を建設するのが難しくなっていくことは避けられません。

将来的に、新しいコンクリート建築が造られなくなる可能性もあり、もしその未来が現実となれば、古い建物を修繕しながら使い続けることを前提とした社会へと移行せざるを得なくなる可能性があります。

これからの建築・不動産業界は、新築中心から「いかに既存の建物を活かすか」という発想にシフトしていくことが求められそうです。

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