全国初のタワマン空室税
神戸市は、都心部でのタワーマンション建設を規制している数少ない自治体のひとつです。居住機能と商業・オフィス機能のバランスを保つための措置ですが、近年、タワマンの「廃虚化」リスクが新たな課題として浮上しています。
こうした背景のもと、2025年1月に神戸市の有識者会議が報告書を提出し、タワマンの空き部屋所有者に対する独自の税負担や、管理状況の届け出義務化といった対策が提案されました。
神戸市のタワマン規制の背景
神戸市がタワマン規制を本格化させたのは2020年ごろ。JR三ノ宮駅周辺を「都心機能誘導地区」と定め、条例に基づいて住宅の新築を制限しました。特に、 高さ約60m以上または20階建て以上 のマンションを「タワマン」と定義し、新たな建設を厳しく抑えています。
これは、タワマンが地域社会に与える影響を考慮したものです。例えば、
• 商業・オフィス機能が圧迫される
• 住民の高齢化による管理不全のリスク
• 災害時の避難・復旧の難しさ
などが懸念されています。
また、 空き部屋問題 も深刻化しつつあります。タワマンは資産価値の維持が難しく、管理が適切に行われないと老朽化が進み、スラム化する恐れがあります。こうした問題を防ぐため、神戸市は新たな税負担の導入を検討し始めました。
空き部屋所有者への税負担とは?
有識者会議が提案した「空き部屋所有者への税負担」は、 タワマンの放置を防ぎ、適切な管理を促す ことを目的としています。
現時点で詳細な税率や具体的な制度設計は決まっていませんが、
• 一定期間使用されていない空き部屋に課税
• 管理不全が進む物件の所有者に負担を求める
といった形が想定されています。
また、これまでは 任意だった管理状況の届け出を義務化し、市がタワマンの実態を把握しやすくする案も盛り込まれました。
こうした対策について、 「適切な管理を促進するために必要」と賛成する声がある一方で、「所有権の侵害ではないか」「新たな税負担は不公平だ」と反対する意見 も出ています。
今後の展開は?
神戸市は、今回の報告書をもとにさらなる議論を進めていく予定です。市の担当者は、「規制ありきではなく、フラットな視点で検討を続ける」とコメントしており、管理組合への支援策なども視野に入れているとのこと。
都市部ではタワマンの老朽化や空き家問題が全国的に課題となっているため、神戸市の取り組みは今後のモデルケースとなる可能性があります。
今後の動向に注目しつつ、タワマンを所有している人や購入を検討している人は、 管理状況や規制の変化にも注意を払う必要がありそう です。