都心と郊外の二極化鮮明に〜東京都の住宅着工、4ヵ月ぶりに増加

“都心 vs 郊外”で進む二極化

東京都が発表した2025年2月の新設住宅着工戸数は10,292戸(前年同月比3.7%増)となり、4ヵ月ぶりに増加に転じました。全体では回復の兆しが見えるものの、内訳を詳しく見ると都心と郊外で明らかな二極化が進行していることがわかります。

利用目的別に見る着工数の推移

住宅の種類ごとに着工数の動きを見ていくと、興味深い傾向が浮かび上がってきます。

持ち家は1,059戸で、前年同月比2.4%の減少。これで3ヵ月連続のマイナスとなり、注文住宅などを建てる人がやや減っていることがうかがえます。

• **貸家(主に賃貸アパートやマンション)**は5,337戸と、前年比4.8%増。2ヵ月連続で増加しており、賃貸市場は依然として需要が高い状況です。

• **分譲住宅(販売用の住宅)**は3,885戸で前年比5.4%増となり、4ヵ月ぶりのプラスに。内訳を見ると、

  - マンションが2,413戸(8.5%増)で6ヵ月連続の増加と好調をキープしており、

  - 一戸建ては1,401戸(1.1%減)と、4ヵ月連続の減少が続いています。

つまり、分譲住宅全体としては伸びていますが、その主役はマンションであり、戸建ては引き続き厳しい状況にあるという構図です。

地域別では「都心と郊外」の差がはっきり

地域ごとに見ると、都心と郊外での住宅供給の差がさらに際立ってきています。

都心3区(千代田・中央・港)では1,346戸が着工され、前年比でなんと約170%増。2ヵ月ぶりの増加どころか、急激な伸びを記録しました。

• **都心10区(港・新宿・文京など含む)**でも2,897戸(37.2%増)と、こちらも2ヵ月ぶりの増加に転じています。

• しかし23区全体では7,799戸と、前年比でわずかに0.9%減少。都心は好調でも、それ以外の区では着工が鈍っている様子が見てとれます。

• 一方、市部(多摩地域などの23区外)は2,461戸で20.8%の増加。こちらは4ヵ月ぶりの増加で、着工数が大きく回復してきました。

住宅市場は「都心集中」と「郊外回帰」の二極化へ

これらのデータから見えてくるのは、都心部でのマンション建設が急増する一方、郊外でも戸建てなどの需要が徐々に戻りつつあるということ。価格の高いエリアでも資産性を重視したマンション購入が活発に行われており、同時に、通勤の柔軟化や生活コストを抑えたいという層が郊外に流れているようです。

つまり東京都内では今、「都心か郊外か」ではなく、“どちらも活発、でも中身は違う”という二極化の構図が進んでいるのです。

今後はこの、都心と郊外の二極化の傾向がより強まっていく可能性があり、「どのエリアで、どの住宅タイプが伸びているのか」を把握することが重要となってくるでしょう。

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