使用貸借終了後の収去義務及び原状回復義務

1.使用貸借終了後の収去義務・原状回復義務について民法598条の改正)

「要網仮案」
民法第598条の規律を次のように改めるものとする。

(1) 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない。
(2) 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができる。
(3) 借主は、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、使用貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

2.借主による収去について現行民法598条

第598条
借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。

3.使用貸借の借主の収去義務・原状回復義務の明文化

 現行民法598条は、借主の収去権だけを規定しています。もっとも、借主は、借用物に附属させた物を収去して原状に回復して返還する義務を負うことに異論はありません。そこで要綱仮案では、借主に収去権があるだけでなく(2)、収去義務(1)及び原状回復義務(3)があることを明文化することが提案されています。これらの改正提案は、賃貸借における賃借人の収去義務・原状回復義務の明文化と同様になります(拙稿:【民法改正】賃借人の収去義務・原状回復義務と通常損耗・経年劣化(民法616条・598条関係)~民法が変わる(124) 参照 )。
もっとも、使用貸借の原状回復義務については、自然損耗・経年劣化による損傷が回復の対象とならない旨の規律は設けられていません。これは賃貸借においては、自然損耗・経年劣化の対価は賃料に含まれていると解されるのに対し、無償契約である使用貸借では、自然損耗・経年劣化による損傷の負担を貸主に課すことが契約当事者の意思や公平に沿うとは限らないことから、これを個々の使用貸借における解釈に委ねたものです。

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