空家問題、実は深刻なんです

皆さんこんにちは。先日、空き家の有効活用を促進するために京都市が導入を目指していた「空き家税」について、松本総務大臣が同意、全国で初めて導入される見通しとなりました。今回は京都市が抱える問題、どうして空き家税が導入されるに至ったのかを見ていきたいと思います。

京都市は家が足りない?

実は京都市、世界的な観光都市である為、家の供給量が足りないことで有名なんです。観光都市である事と家の供給が足りないことにどんな関連性があるの?と不思議に思った方もいらっしゃると思いますが、古い街並の景観を守るために2007年に導入された京都市独自の「高さ規制」の結果として高層マンションが建てられなくなり、一方で東京オリンピック開催に伴う訪日観光客の増加を見込んだホテル建設ラッシュによる用地不足が相まって京都市内の不動産供給量が需要に追いつかず、結果として不動産価格はバブル期並みに高騰した、とも言われいます。結果として若い世代を中心に滋賀県など不動産価格が安い地域への人口の流出が続いているという問題を抱える事となりました。

財政破綻!?京都市の財政は悪いのか

2020年の暮れ、京都市が財政再生団体に転落するかもしれない、というニュースが世間を駆け巡ったのはまだ記憶に新しいかもしれません。京都市はおよそ22年間に渡り「収入より支出が多い」という異常な予算編成を続け、その不足分を借り入れをしたり、借金返済のために積み立ててきた公債償還基金と呼ばれる貯金を取り崩すという方法で予算不足を回避してきたという経緯がありました。その結果いよいよ公債償還基金という財源が底をつく、とのことから財政破綻するのではないか、という話になりました。実は京都市は今年の2月の記者会見で終始均衡を達成したと発表しましたが、これはあくまでも一時的なもので、若年人口流出など根本的な原因が解決されておらず、未だに安定的な財源を確保しなければならないという課題が残っていました。

実は人が少なく空き家が多い京都

昨今全国的に空き家が大きな問題になっています。空き家は手入れする人もいないため老朽化が早く、そのため崩れる危険性が高まり、不法投棄の対象になって異臭を発したり景観を損ね、場合によってはたまり場として使われ放火の可能性が上がる等、行政が問題の対策を強いられている自治体が多いのも現状です。京都市は出生数が少なく、地価も高いため子育て世代が引っ越してくることも少なく、それに加え京都の独特な「京町家」と呼ばれる2世帯で住むには狭い独特な構造によって子供が結婚を機に家を出て地価の安い他県などに転出してしまった結果、他自治体と比べると歳入に占める住民税の割合が少ないという特徴があります。この悪循環の結果、人口減少、空き家の増加と税歳入の減少という3つの大きな問題を抱える事となりました。

空き家税導入、決めました

さて、財政の悪い京都市、人口の流出による安定的な税歳入の低下と空き家問題、これを一気に解決するために2022年3月に市議会で空き家税の導入が可決されていました。法定外税の新設には総務大臣の承認が必要であり、今回のニュースは松本剛明総務大臣が同意する方針を固め2026年以降に導入される、というものでした。この正式名称「非居住住宅利活用促進税」の導入によって課税を避けるための売却、賃貸を促進させ不動産の供給増、価格の安定化を目指す事となったのですが、空家の他にも日常的な居住者がいない別荘や別宅も課税の対象となります。所有者は固定資産税だけでなく空き家税を納めることになり、税負担が1.5倍ほどになると考えられています。

最後に

空家問題は京都市だけの問題ではなく全ての自治体や世界的大都市東京でも大きな問題になっています。もし京都市でこの新しい税制が効果を見せたら他の自治体も似たような税制度を導入する可能性も大いにあるのではないかと考えられています。築年数の古い空き家を取り壊すように行政から指導が入ることも少なくない昨今、皆様も空き家を有効活用する方法を考え始めても良いのかもしれません

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