マンションの建て替えは難しい

高度経済成長期に建てられたマンションの老朽化が目立ってきているなか、費用的な理由や居住者の高齢化などの理由で建て替えが思うように進まない状況が続いています。

制審議会が示した区分所有法改正案では、分譲マンションや団地の建て替えを促進するため、建て替えの決議要件を緩和する内容が明らかになりました。具体的には、建物に耐震性、防火性、外壁、給排水設備、バリアフリーのいずれかの問題があれば建て替え可能となります。建て替え決議の要件も変更され、マンションでは「所在不明者を除く4分の3の賛成」が必要とされます。

同様に、団地の建て替えについても要件が緩和され、全棟建て替えの場合は他の棟含めた所在明らかな所有者の4分の3や各棟ごとの所在明らかな所有者の過半数の賛成が必要です。これにより、高度経済成長期に建てられた集合住宅の「老い」に対処し、再生を促進する狙いが表れています。

政府はこれらの提案を基に2024年の通常国会に区分所有法改正案を提出する方針であり、建物と住民の高齢化に起因する集合住宅の管理や再生の難しさに対応しようとしています。特に、鉄筋コンクリートのマンションの寿命が60年とされ、築40年以上の分譲マンションの数が急増していることが課題となっています。

一方で、建て替えに伴う住民の負担を軽減するための施策も模索されており、建て替えの容積率の緩和や新しい建物を大型化して費用を工事費に回す手法が検討されています。ただし、建設費の上昇も課題であり、これに対処する必要があります。

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