地場仲介業者の倒産が過去最多に。

昨年も、今年の春季労使交渉(春闘)は高水準の賃上げを実現した。マイナス金利も解除され、日銀は正常な金融政策を模索する。日経平均株価は、バブル期の最高値を塗り替えて初めて4万円台に突入するなど経済界は30年に及ぶ成長なき時代の終焉に期待を寄せている。

ただ、世間一般では、バブル期のような高揚感はない。資源価格の高騰と円安の急進を受けて生活コストの上昇率が賃上げ率を上回るためだ。実際、企業の倒産件数が増えている。

ただ、世間一般では、バブル期のような高揚感はない。資源価格の高騰と円安の急進を受けて生活コストの上昇率が賃上げ率を上回るためだ。実際、企業の倒産件数が増えている。

昨年は100億円超の大型倒産も

帝国データバンクの発表によると、2023年度の倒産件数は9年ぶりの高水準になった。8881件の倒産件数は前年度比で30.6%も増加している。

2年連続で前年度を上回り、2014年度の9044件に迫る9年ぶりの高水準で、負債総額は2兆4344億7400万円となった。負債が100億円以上の大型倒産が19件に上り、10年ぶりに2年連続で2兆円を超えた。

賃貸紹介数はコロナ前の水準届かず

こうした大型倒産にとどまらず、地域に根ざす地場不動産会社の倒産も増えている。

帝国データバンクによると、賃貸マンション・アパートの仲介・管理を手掛ける「街の不動産屋」の倒産が2023年に過去最高に達したと発表した。不動産仲介会社の倒産は120件(前年69件)となり、前年比で7割増と大幅に増加しました。

この背景について同社では、不動産仲介会社の主な収入源となる入居希望者の物件紹介数の減少などが要因として挙げられるとした。

企業の異動や大学の進学に伴う引っ越し需要は春に集中するが、各年3月時点の賃貸成約件数を首都圏で見ると、2023年は約2万3000件となり、新型コロナ禍前に3万件前後で推移した水準の8割前後にとどまっているという。

法人需要で伸び悩む。リモートワークの普及と優秀な人材確保を目的に異動制度の見直しが大手を中心に進んだことが理由の一つだ。

物件が高騰する中で引っ越し代を抑えたい、新築物件は建築費の高騰で家賃と管理費が上がりやすい、既存物件でも最近は家賃の値上げ傾向が強まっているなどの状況を受けて個人の住み替えに手控え感が強いことが業況を悪化させている。

入居者の満足度を高めるためにインターネット環境や防犯対策などを導入する必要にも迫られている。

事業機会の減少が倒産を招く

賃貸仲介でなく、地場の売買仲介会社や小規模ビルダーも同様に厳しい。「建て売りを得意とするビルダーを見ると、昨年の秋ごろから郊外で在庫が積み上がり始めている」(東京都渋谷区の売買仲介会社)、「中古マンションでも手が届きにくくなっていることで、東京23区では成約までの期間が長期化している。

悩んだあげくに購入を諦めた検討者は珍しくない」(東京都足立区の売買仲介会社)との声が聞かれる。こうした状況が続けばアッパー層を得意とする不動産会社と、そうではない平均的な実需層をメインに取り扱う事業者との収益力の格差は広がる。

この先アパートを続けた場合でも部屋が埋まらないといったことは一般的になる。売却を考えていればすぐに動かれることをお勧めする。賃貸・売買ともに将来の事業機会の奪い合いが加速すれば、淘汰される不動産会社も増えそうだ。

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